2022年は一年で1ドル115円程度から149円と1年で約35円の極端な円安を引き起こしました。
以前に為替とは各国通貨のパワーバランスだとお話しました。
ということは簡単に言えば、世界中の多くの人が
円は魅力ない、ドルほしい!
と思っているということです。これがどういうことなのかが今回の話です。
経済状況の差が金利として表れる
そのわけは
日本とアメリカの経済状況(金利)の差
です。アメリカは景気良い、日本は景気悪いというわけです。
金利とは経済の調整弁
金利は景気が良い時には上がり、悪い時には下がります。
これは日本銀行が経済の安定を保つためにそのように誘導しています。
経済が良い → お金が余る → 貸しやすくするために金利上昇
また、景気が良くなりすぎた時に金利をあげることで、物価が実際の経済状況以上に高くなりすぎる「バブル化」を抑える効果もあります。
アメリカでは2022年に入り、40年ぶりの高インフレ状態となっていました。
その理由は新型コロナウイルスによるパンデミックやロシアのウクライナ侵攻など様々な要因があるとされています。
デフレ :インフレの逆でモノやサービスの価格(物価)が継続して低下すること
そのインフレを抑えるためにアメリカは政策金利の大幅な利上げを連続して行ってきました。3月にパンデミック対策で行っていたゼロ金利を解除して0.25%利上げ、5月にはさらにペースを早めて0.5%利上げ、6月には0.75%、7月も0.75%、9月も0.75%、11月も0.75%、12月に0.5%というとんでもないスピードです。
相対的に円の魅力がダウンして売られる展開に
アメリカドルは急激な高金利、日本円はほぼゼロ金利。
相対的に円の魅力はダウンします。
ドルを持っていれば利息が多くもらえ、しかもさらに利上げの可能性が高い、一方で円はほぼ利息もらえないなら多くの人は円を売ってドルを持とうと考えます。
↓
円を売ってドルに変えよう
さらに円安ドル高になるならFX取引をしている投資家たちも
投資家A「どう考えてもドルの方がいいよね、円は持っててもダメだ売ろう」
投資家B「しかも日本は景気が悪いので金利を上げられないのでこの流れは当分続く、安心して売れる!!楽勝だ!」
となって投機的な動きも加わり、ますます円安が加速したのです。
日銀も対抗するが流れは変えられず
ある程度の円安はメリットもあるのですが、日本の産業は輸入に頼っているものが多いので極端な円安によって原料が高騰→物価高となる負の側面が大きくなってきました。
日銀が「急激な相場の変動は望ましくない」と口先で牽制を入れても、日本は景気がよくないので金融政策スタンスを変えられない(=金利を上げられない)ことを見透かされて円安の流れは加速
その結果、1ドル115円程度から149円と1年で約35円の極端な円安を引き起こしました。
◆ つじんぬの見解
日本でもアメリカと同じようにエネルギー価格の高騰、円安ドル高の影響でインフレの波が押し寄せてきています。
しかし日本は金利を上げることができない。
突き詰めて考えると、日本の経済を良くしないと長期的に今後も円高ドル安の流れになってしまいますね。
このままでは際限なく円が売られる流れになるので、日銀はこれまでのスタンスを変える必要に迫られる、少なくともその姿勢だけは必要となるのではないでしょうか。