2019年3月7日に内閣府より発表された1月の景気動向指数(速報値)が前月より2.7ポイント悪化しました。
3カ月連続の低下となります。日本は既に景気後退(または停滞)期に入っていたと認定される可能性があり、実際に政府の基調判断も「足踏みを示している」から、景気後退入りした可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正しました。
《景気動向指数》
内閣府が毎月公表する産業・労働・金融などさまざまな経済活動で、景気に重要かつ敏感な複数の指標動向をもとに算出した統合的な景気指数。
そもそも景気は拡大していたのか
大多数の感覚では好景気の実感はない
先日まで政府は景気拡大が6年2ヶ月と、戦後最長となるとの見解を示していました。
確かに日本経済新聞社による2018年冬のボーナス調査では全産業の平均が83万4391円であり、過去最高であること、6年連続で前年を上回ったとされていました。
しかし、中小企業会社員にはさほど変わりなく、一部の大手企業だけが潤っているように見受けられます。
テレビの取材で街の声を聞いていたのを見ましたが、多くの人が「好景気」を実感しているとは言い難く、逆に節約志向になって財布のヒモが固くなっているとのことでした。
私の周りでも行きつけのカレー屋さんが年々値上がりして、元々はリーズナブルだったのに普通の値段になってしまいました。一方でボーナスは・・・なんですかそれは?都市伝説ですか?
データがどうであれ、大多数を占める一般市民が不景気だと感じているならその感覚が正しかったのだと思います。
人手不足で就職では空前の売り手市場
ただ、良い要素もありました。
それは人手不足です。最新の大卒求人倍率は下記の通りです。
大卒求人倍率:1.88倍 倍率7年連続上昇、38.1万人未充足
中小企業は過去最高の9.91倍となり、採用難が加速引用元: リクルートワークス2019年卒調査
さらに完全失業率も極めて低水準となっています。
年平均 2016年 2017年 2018年 完全失業率 3.1% 2.8% 2.4% 引用元: 総務省統計局
つまりどこも人手不足で、給料や待遇面を良くしないと人材が確保できない状況です。
賃金は確かに上がっているのです。しかし、人件費が上がった分、同じ値段で商品やサービスを売ると利益がガタ落ちになるので、企業は値上げせざるを得ません。
サービスの低下を避けるために、値上げによる労働者への還元は必要なことです。
最近ヤマトなど運送業でも問題になりましたよね。
ではなぜ景気は上向かないのか。
賃金上昇 < 値上げ
企業が十分に労働者に還元できていないのです。
え、そんなのおかしい!人件費分値上げしてるんじゃないの?
と思うかもしれませんが
給料を上げるのは普通にできても、下げるのはよっぽどの理由がないとできないですよね。
つまり、企業も今後安定して利益をあげていけるか疑心暗鬼になっているのです。
だから給料が思ったより上がらず、好景気の実感がないのです。
そしてずっと変だな・・・と感じていた違和感が景気動向指数として現れたのでしょう。
政府の統計不正問題も重なり、政府が景気後退を認めたくないために有利な数値を公表してきたが、それもついに誤魔化しきれなくなってきたのではないかという声も聞かれます。
さらに3月13日のニュースで春闘の回答でベア(ベースアップ、従業員の基本給を一律に引き上げる)前年水準を割り込む回答が相次いだとのこと。しかしまだ確実に景気後退局面に入ったわけでなく、政府が適切な対策を打てばまた景気は上向きにできるかもしれません。
ただここで消費増税はちょっと・・・
「4月中には最終判断をしなければもう間に合わない」という専門家もいるので増税がどうなるのか今後に注目です!