令和元年6月3日、金融庁の金融審議会が「老後の生活に2000万円が不足する」との調査結果を公表し世の中に衝撃を与えました!今の現役世代は老後に受け取る年金だけでは食っていけず、貯金を取り崩しながら生活しなければならないことはうすうす国民は感じていたと思います。しかしデータとしてはっきりと示されたことで、老後への危機感が現実となっています。

事件の概要

金融庁の審議会の報告書とは何か

高齢社会における資産形成・管理大学教授や企業経営者、エコノミスト、弁護士などがメンバーとなった金融庁の審議会のワーキンググループが計12回にわたり、「高齢社会における金融サービスのあり方」など「国民の安定的な資産形成」を中心に検討・審議を行ってまとめた報告書です。

「人生100年時代」と呼ばれるかつてない高齢社会に備え、個人は資産形成や管理に取り組んでいくこと、金融サービス提供者は社会変化に適切に対応していくことを求めている、社会全体の問題を提起する内容でした。

老後資金不足の内訳

前述のワーキンググループ作成の資料によると、
収入が年金中心の高齢夫婦の世帯は、収入よりも支出が上回るため、平均で毎月5万円の赤字になる。人生100年時代という前提で年金を受け取る65歳から95歳まで生きたとして、老後30年間これが続くと、5万円×12ヶ月×30年間、計2000万円が必要になるというわけです。

 

政府「報告書は不適切な表現だった」と火消しに躍起!

これがメディアに大々的に報じられ、保険料をきちんと収めていても年金だけでは将来生活が成り立たないという事実に批判が殺到しました。

それもそのはず、かつて政府は『年金100年安心プラン』として、もらえる年金額を抑え、保険料も段階的に引き上げる代わりに、年金は100年は安心であると国民に説明していたのです。負担が増えるのを我慢しても将来は安泰である、この前提が覆されたのです!

しかし安倍首相は「平均値での乱暴な議論は不適切であった」とコメントし、麻生太郎財務大臣・金融担当大臣も不適切と報告書は認めず、受け取らないと発表し、現在は火に油を注ぐ格好となっています。

◆ つじんぬの見解

報告書を受け取らないことで、不都合なデータを認めないというのは、まるで子どもの言い訳です。それが事実であれば、いずれ明らかになってしますのですから。

もしこのデータが誤解であるというなら、どこがどう違うのかをわかりやすく国民に説明すべきでしょう。自分が何歳まで生きるか確証はないため、机上の空論だということはごまかしにしか過ぎず、平均値ということは多くの人が当てはまるのでそれは事実と変わりないことになるでしょう。

認める認めないではなく、この先起こる現実を見据えての対策が政府に求められることではないでしょうか。