相談内容

老後、国民年金だけで生活する場合はいくら必要か現実的な数字を教えてほしいです。ニュースのモデル世帯は年間所得が多すぎです。

《相談者情報》

名前:匿名
性別:女性(40代後半)
家族構成:既婚、持ち家
リスク許容度:安全性重視タイプ

アドバイス

「老後2000万円必要」のニュースはお茶の間に衝撃を与えましたね。2000万円という言葉が一人歩きしている感もありますがもらえる年金額は世帯によって違います。

「老後資金2000万円必要」金融庁のデータ、不都合な「真実」

私の場合は社会人になって5、6年は会社が厚生年金に加入していなかったので国民年金だけでした。また、学生納付特例制度により学生の間は年金を支払っていませんでしたが、当時は収入が少なく、追納もしていません。

このように全員が同じ額をもらえるわけではないのでニュースの数字だけを鵜呑みにするのではなく、自分の置かれている状況を把握することが求められます。いくら必要なのかが目安だけでもわからなければ対策できませんからね。

老後世帯の収入の大半は社会保障給付(年金)

先ごろ物議を醸した金融庁審議会の報告書『高齢社会における資産形成・管理』のデータでは
夫65歳、妻60歳以上の無職世帯の平均的な老後資金世帯収入が209,198円、支出が263,728円で、その内訳は以下となっています。

この収入の社会保障給付とは主に年金のことです。
ご質問の通りこれはあくまで平均値であり、国民年金のみの世帯もいれば、厚生年金に加入している世帯もあり、この違いで金額に大きく差がついてきます。では国民年金のみの世帯ではどうなるのかという質問ですね。自営業やパートなどの非正規雇用の世帯は上記の額はもらえないのでもっとお金を貯めておかなくてはなりません。

国民年金と厚生年金

上図の社会保障給付ですが、まず、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の全ての人が加入している『国民年金』があり、さらに会社員は国民年金に加え『厚生年金』に加入しています。支給額は国民年金の場合、払った期間や受給開始時期(65歳より早くもらうと減り、遅くもらうと増える)にもよりますが、2019年のデータでは一人当たり月に約6万5000円となっています。厚生年金も加えた場合は約15万円となっています。

夫婦ともに国民年金のみだと不足分は4680万円

ここではいったん他の条件は除外して社会保障給付のみで考えてみます。
まず、夫婦ともに国民年金のみの場合、

【夫婦ともに国民年金のみの場合】
【世帯収入】6.5万円×2=13万円
毎月13万円の赤字、30年間で4,680万円不足

わかりやすい数字で支出を26万円とすると不足分は毎月

26万円-13万円=13万円の赤字

65歳から余裕を持って95歳まで生きた場合の不足金額は

13万円×12ヶ月×30年=4,680万円不足

自分でもびっくりです!こんな額、いきなり貯めろと言われても不可能ですよね!ちなみに

【夫婦どちらかが会社員で定年まで厚生年金を払った場合】
【世帯収入】6.5万円+15万円=21.5万円
毎月4.5万円の赤字、30年間で1,620万円不足

夫婦どちらも会社員で定年まで厚生年金を払った場合
【世帯収入】15万円×15万円=30万円
毎月4万円の黒字、30年間で120万円プラス

となります。このように国民年金のみか厚生年金に加入しているかで大きな差が生まれるので夫婦ともに自営業の場合は個人年金や小規模企業共済などで少しでも老後資金を確保するように計画しなければなりません。