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相談内容
NISAがお得とか最近よくききます。
広告とかでなんであんなに勧めてくるんでしょうか?
《相談者情報》
性別:男性(30代前半)
家族構成:未婚、賃貸
リスク許容度:安全性重視タイプ
アドバイス
NISAがお得な制度なのは間違いないがそう簡単ではない!
NISAは少額投資非課税制度といい、投資で得た利益にかかる税金が全くかからない口座です。
投資に興味を持ってもらうきっかけとしてはとても良いと思いますが、「初心者でも簡単にできた」というような広告は違うと思います。
なぜ銀行や証券会社がNISAを勧めるかというと、株や投資信託を買ったり売ったりするたびに手数料が入るからです。
つまり、自社に口座を作ってもらいたいからですね。
NISAとは
投資をしない人にはいまいちピンとこないと思いますが、投資で利益が出ると税金がかかります。
確定申告をしなくていい特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、自動的に税金が引かれた額が利益となります。
その税率は20.315%。
私のような弱小投資家にとっては高い税率ですね。
例えば10万円の株を買って20万円で売ったら10万円の利益ですが、ここから税金が引かれます。
そして1000円の配当金が出たとすれば同じく税金が引かれます。
この場合の利益を表にすると以下のようになります。
・10万円の利益と1000円の配当金が出た場合の税金
売却益(税引き後) | 配当金(税引き後) | 合計利益(税引き後) | |
通常(課税)口座 | 79,685円 | 796円 | 80,481円 |
NISA | 100,000円 | 1,000円 | 110,000円 |
しかしNISAの枠で買った株であれば売買による利益、配当金の利益の両方が非課税になるというわけです。
NISA口座については他にもこのような特長があります。
- 購入額が年間通算120万円まで
- いつでも売買できるが一度使った枠は再利用できない
- 期間は最大5年間、5年が過ぎると通常口座(課税口座)に移すか、新しい年のNISA枠に移すか選択
- 一人1口座のみ
- 「通常のNISA」か「つみたてNISA」かどちらかを選択
- 売却して確定した利益が非課税となる
つみたてNISA
つみたてNISAとは税金のメリットは通常のNISAと同じなのですが、こちらは長期に積み立てて投資をするための制度です。
非課税枠が年間通算40万円までで期間は最大20年間です。
長期に少額投資をすることで変動リスクを少なく抑えながら資産形成することを目的としています。
初心者ならNISAのデメリットに注意
あくまで投資、損をする可能性もあり
投資というのは利益がでることもあれば損をすることもあります。
NISAだから初心者に優しいということは一切ありません。
あくまで自分のリスクの取れる範囲で投資を行うことが求められます。
損益通算ができない
投資で利益が出た場合、税金がかかることは先ほどの通りです。
しかし当然勝ったり負けたりがあります。勝った時だけ税金を取られるのは一方的です。
そういうわけで年間通算の利益に対して課税されるという仕組みが「損益通算」です。
①(10万円の利益 − 5万円の損失)= 5万円の利益 → 通算すると5万円に課税
②(10万円の利益 − 15万円の損失)= 5万円の損失 → 通算すると赤字なので課税なし
しかもこの損失は3年間繰り越しして利益から引くことができます。
しかしNISA口座は非課税口座なので税金の計算からは除外されている独立した口座なのです。
勝っても負けても税金的にはノーカウントとなります。
①10万円の利益 − 5万円の損失(NISA) → 通算されず10万円に課税
利益が出れば非課税で利益の全額が手取りになりますが、負けた場合の税金の軽減もありません。
NISAの扱いは難しい
利益が出れば丸儲けなのですが、損失が出た場合もダメージが大きくなる可能性があるということです。
私は個別株を売買することが多いのですが、このようなリスクがあるので私はNISA枠で株を買う時はものすごく慎重に買います。ここがドン底というタイミングまで待って、チャンスが来なければ一年の枠をほとんど使わない年もあります。
つまり、NISAの使いどころは課税口座よりも難しいと個人的に思います。
初心者ならつみたてNISAがいいよと勧誘されるかもしれませんが、基本は同じです。
普通に投資信託を少額買ってみて、どのような場合にどんな値動きをするのかとか、自分に合った買い方なのかとか考えて準備した上でチャレンジするのがいいと思います。
しかし誰もが最初は初心者なわけで、NISAだからというのではなく、純粋に自分の将来に向けてのチャレンジならありだと思います。がんばってください!
まとめ
- NISAと積立NISAは初心者向けと思われがちだが逆に注意!
- 損失が出た場合、損益通算ができない
- NISAだから特別ではなくどんな形でも投資にはリスクがつきもの