地域の特産品がもらえ、節税にもなる「ふるさと納税」が近年ブームになっています。2014年度は388億円だった寄付金受入額が2017年度には3653億円と過去最高になったそうです。

ふるさと納税パーフェクトガイド 〜制度編〜

ところが豪華すぎる返礼品が本来の目的にそぐわないとして、今年(2018年)8月、総務省は是正勧告に従わない12市町村の実名を公表しました。

ふるさと納税返礼品競争の概要

ふるさと納税の本来の目的とは

ふるさと納税はふるさと(出身地でなくても良い)に寄付をして応援するという制度で地域活性化や災害支援を目的としてスタートしました。寄付した金額から2000円を除いた額が住民税、所得税から控除されることで寄付を促し、自分の好きな街やお世話になった地域に貢献できるというものです。

もともとは善意の寄付へのお礼として自治体は返礼品を送っていましたが、より多くの寄付金を得るために返礼品をアピールするようになりました。競争がエスカレートした結果、地域とは関係のない家電製品や商品券などを投入するところも出ており、本来の目的から逸脱するという事態も見受けられるようになりました。

総務省より、「良識ある対応」を要請

そうなると総務省は昨年4月、今年4月と各自治体に

  • 返礼品は寄付金の額の3割以下とすること
  • 返礼品は地域に関係のないものは避け、地場産品にすること

と要請を行っていました。ところが強制力はなく、再三の要請にも見直す意向がないとして以下の12市町村の名前の公表に踏み切りました。

茨城県 境町
岐阜県 関市
静岡県 小山町
滋賀県 近江八幡市
大阪府 泉佐野市
福岡県 宗像市、上毛町
佐賀県 唐津市、嬉野市、基山町、みやき町
大分県 佐伯市

寄付金を集めすぎることの弊害

より多くの寄付金が集まるということはそれだけ寄付者の住んでいる自治体の住民税が減少し、人気を集めた自治体の収入が増えることになります。本来収めるはずだった住民税が一部の人気のある自治体へ流出しているということになります。

寄付金を集めすぎることの弊害

これが同じ土俵での競争であれば問題ないのですが、政府の言うことをきちんと守った自治体が減収になり、言うことを守らない自治体がやったもの勝ちになることに不公平感が高まったため、今回の措置となったわけです。

 

◆ つじんぬの見解

私は4年前からこの制度を活用していまして、普段はなかなか食べられない、地域の特産品(米や肉やうなぎなど)を毎年おいしくいただいています。

総務省の勧告はもっともで制度の見直しをしなければならないとは思います。一市民としては節税はできるだけしたいし、豪華な返礼品もいただきたいと言うのが本音ですが、今後は不公平感是正の方向に進んでいくのではないでしょうか。