相談内容
今年は医療費が多くかかりそうでこのままだと10万円を超えそうです。
一年間で医療費が10万円以上かかると医療費控除が受けられると聞いたのですが、医療費ってどこまでが対象になるんでしょうか?
また、控除って言われてもピンとこないのですが、10万円を超えた額が戻ってくるのでしょうか?
《相談者情報》
性別:女性(30代前半)
家族構成:既婚、賃貸
リスク許容度:安全性重視タイプ
アドバイス
控除される医療費の対象範囲
以前確定申告の記事で述べましたが、医療費控除で適用される控除額は下記のとおりです。
〔その年中に支払った医療費〕-〔保険金などで補てんされる金額〕-〔10万円又は所得金額の5%(どちらか少ない額)〕=〔医療費控除額(最高200万円)〕
- 1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が10万円以上の場合
- 医療費は同一生計の家族で合算できる
- 基本的に病院にかかった自己負担額(保険診療なら現役世代は3割)
- 自由診療(保険外診療)も対象
- 個人で加入していた医療保険による補填があった場合はそれを差し引きした実際の負担額
このあたりは以前に相談されたことがあるので参考例になるかもしれません。
POINT①:自由診療(保険外診療)も対象
健康保険がきかないなら医療費控除もできないと誤解されがちですが、制度的に健康保険と税制は別物だと覚えておきましょう。
POINT②:出産に関わる費用
妊娠と判断されてからの定期検診や検査費用は対象です。
健康保険から支給される出産一時金などは医療費から差し引きます。
また、不妊治療も対象となります。
POINT③:医薬品について
病院で処方されたもの以外にも市販の薬も対象です。
ただし健康のためのサプリメントなどは対象外です。
治療目的のものが対象だと覚えておきましょう。
POINT④:交通費について
交通機関の利用が対象で、通院目的でも自家用車のガゾリン代、駐車代は認められません。
バスや電車は領収書がもらえないので対象外と思われがちですが、日付と金額をメモしておけば大丈夫です。
交通機関を使うのが困難な場合のみタクシー代も認められます。
控除によって実際の還付額はいくらになる?
10万円を超えて支払った医療費に対する所得税額が還付される
10万円を超えた額が全て還付されるわけではありません。
所得から控除が差し引かれた額に対して税金がかかります(課税所得額)。
そしてその税率は所得に応じて決まります。
課税所得額 | 税率 |
---|---|
1,000~1,949,000円 | 5% |
1,950,000~3,299,000円 | 10% |
3,300,000~6,949,000円 | 20% |
6,950,000~8,999,000円 | 23% |
9,000,000~17,999,000円 | 33% |
18,000,000円~ | 40% |
例えば所得が500万円で医療費が30万円かかった場合、所得税率は20%なので
20万円(10万円を超えた額)×20%=4万円
が還付額となります。
医療費控除は来年の確定申告で
基本的にサラリーマンの方は会社が年末調整をしてくれるので確定申告の必要はありません。
しかし、個人で支払った細かい医療費までは会社が把握することはできませんので、確定申告が必要になります。
10万円を超えた額が自動的に税金から引かれるわけではないので忘れないようにしましょう!
これまで医療費控除の申告にはレシートや領収書の添付が必要でした。
それが2017年から不要になり、医療費の明細書だけでよくなりました。
ただし、税務署から求められた場合に証明のためにレシートは必要ですので5年間は保管義務があります。
さらにマイナンバーカードと連携することで扶養家族の分も含めた医療費を自動で取得できるようにもなりました。
このように、医療費控除の申告は簡略化されてきています。
ただ、確定申告はいまだハードルが高いことも事実。
しかし年末調整以外の税金の控除は誰も教えてくれないので、知らなければ還付されるはずの税金を捨てていることになります。
知らずにスルーしている人も多くいると思います。
しかし、自分たちの生活に関わることなので税金には興味を持った方がいいと思います。
私はそういった人が増えるようにこれからも情報発信をしていきたいと思っています。