女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営元であるスマートデイズが2018年4月9日に東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請しました。
スマートデイズ社は一定以上の収入のあるサラリーマンをメインターゲットに約700人とサブリース契約をし、シェアハウスを次々と増やしていきました。ところが経営破綻により、オーナーたちは利益を得るどころか到底返せないようなローンの返済に追われることになったのです!

事件の概要

シェアハウス投資の魅惑

ある日Aさんのところにシェアハウス投資の営業マンがやってきました。

シェアハウスを建ててオーナーになりませんか?
物件は1億円でローン返済は月100万円、しかし入居に関わらず家賃として125万円お支払いします。家賃保証は30年間。建設費のローン支払いは家賃収入で充当し、余った分があなたのお金になります。
つまり、オーナーになりさえすれば、

後は何もしなくても毎月25万円の副収入が入ってくるのです。

夢のシェアハウスオーナーに

いかがですか?

もしこのとおりなら1億円の借金があっても年1200万円返していけば十分な元が取れそうです。

サブリース契約とは

会社側が不動産のオーナーから部屋を一括して借り上げ、入居者へ貸し出してその管理・運営を行い、手数料を差し引いたサブリース賃料をオーナーへ支払うシステムのことです。

サブリース契約とは

スマートデイズ社は管理手数料をもらい、オーナーは安定した家賃収入をもらい、当初はお互いにWin-Winで悪いところはないように思えました。

保証されていた賃料が滞り始め、ついにストップ

しかし2017年10月、オーナーに保証していたはずの賃料の支払いが滞り始め、一方的に減額されました。そして2018年1月に完全にストップ。しかしオーナーはローンを返済しなくてはなりません。

スマートデイズ社の営業マンはオーナーにはシェアハウスはほぼ埋まっていて運営は順調であると言っていましたが、実際には入居率は低迷し、物件の紹介料で運営が回っていたという自転車操業状態だったのです。そこに主力行のスルガ銀行が融資に慎重姿勢になったことで物件を今までのように建てられなくなり、破綻することになったのでした。

不正融資が発覚し社会問題に

こうして、毎月100万円超の返済を払えないAさんのようなサラリーマンが続出することとなりました。

この問題を調査していくうちにスルガ銀行が営業成績を上げるため、融資審査の申込書類を改ざんするなどして通常審査に通らない人にも不正に貸していたことが発覚。これが被害者を大幅に増やす結果になったことから社会問題に発展し、2018年11月現在、被害者はスルガ銀行に返済の減額や猶予を交渉中とのことです。

◆ つじんぬの見解

ネット上の意見としては「オーナーたちは自分の意思で儲け話に乗ったはずなのに損したら被害者ぶるのは虫が良すぎだ」「投資は自己責任のはず」などと厳しい論調も少なくはありません。原則としてはその通りだと思います。ただし自分たちの利益のためにルールを破り、人を利用するのはモラル的に許されない。不正をした銀行も責任の一端を負うべきだと考えます。

(2020年3月26日追記)スルガ銀、残債をゼロに

スルガ銀行は同行で約440億円の残債を抱える融資を受けた約250人に対し、

物件を手放すことを条件に、残債をゼロにするという異例の手続きを行いました。

借金の帳消しが現実に起こるとは驚きです!しかしそれだけ悪質で不正な融資を行なっていたということで、今後の銀行のあり方に一石を投じる結末となりました。
スルガ銀行は物件を処分してもこの金額は埋められないと思うのですが、損失に耐えられるのでしょうか。