「日銀が利上げしたのは知ってるけど返済額は変わってないし、住宅ローンの影響なんてまだ先の話でしょ?」

そう思っていませんか?

実は私自身、フリーランスとして仕事場にかかる費用(私の場合、自宅の住宅ローンの利息の一部)を経費計上できることを知り、返済明細を詳しくチェックしたところ、思わず声を失いました。

なんと、毎月の返済額のうち、

金利が上がる前に9,855円だった利息が、今では18,308円に増えていたのです。

「どうしてこんなことになるのか?」「このままで大丈夫なのか?」
この記事では、私が実際に気づいた“変動金利の落とし穴”と、いまからできる現実的な対策をお伝えします。

返済額は同じなのに利息が増える理由

日本の政策金利は下記のように短期に上昇してきています。

期間政策金利
2016/1〜2024/2-0.10%
2024/2〜2024/60.10%
2024/7〜2024/120.25%
2025/1〜0.50%
日本政策金利の推移(外為どっとコムより)

しかし今のところ返済額は変わっていない。
そのわけは・・・

住宅ローンには「5年ルール」「125%ルール」という仕組みがあります。
これは、

  • 金利が上昇しても5年間は返済額を据え置き
  • 6年目以降に上限125%までしか返済額を増やせない

というものです。

一見、家計にやさしい仕組みのように見えますが、実はここに落とし穴があります。
返済額を据え置く代わりに、増えた金利分は「利息」に上乗せされ、元金の返済が遅れるのです。

つまり、利息が増えると元金の減り方が遅くなります。
実際私の例ではこうなっています。

住宅ローン返済額の内訳

「返済しているのに残高が全然減らない」と感じるのは、この影響です。

フリーランスになって気づいた、利息のリアル

会社員時代は毎月の返済が自動引き落としで、「ローン=ただの固定費」としか考えていませんでした。
ところが独立して確定申告をする必要があり、「住宅ローンの利息分は経費にできる(事務所部分のみ)」と知ったことで、初めて返済内訳をじっくり確認。
その結果、利息額が倍近くに増えていることに気づいたのです。

おそらく、多くの人はこの変化にまだ気づいていません。
なぜなら、返済額そのものが変わっていないからです。
しかし内訳を見れば、確実に“金利上昇の影”が忍び寄っています。

「5年ルール」で支払いは守られるが、完済は遠のく

5年ルールのおかげで、急な返済額アップを防ぐことはできます。
これはローン返済ができなくなる、いわゆる住宅ローン破綻する家庭が続出するのを防ぐためですね。


ただし、返済額を抑えたままでは元金が減らないため、ローン期間が長引くリスクがあります。

つまり、今は一見変わっていなくても、将来的に家計を圧迫する“時限爆弾”のような状態です。

返済明細をチェックして“利息の変化”を見逃さない

金利上昇の影響を早めに把握するには、毎月の返済内訳をチェックするのがいちばん確実です。

ネットバンキングや住宅ローンアプリから、
「利息」「元金」「残高」の3項目を確認してみましょう。

毎月の返済内訳(三井住友銀行)
↑返済内訳はこんな感じです

もし、以前より元金の減りが遅くなっているようなら、それは金利上昇の影響を受けているサインです。

今からできる3つの対策

1. まずは自分の金利タイプを確認する

変動金利型なのか、固定金利型なのかを把握していない人は意外と多いです。
契約書やネットバンキングのローン情報を確認し、金利タイプ・金利更新月をチェックしましょう。

特に変動金利の場合、半年ごとに金利が見直されるため、利上げの影響を受けやすいです。
更新時期を知っておくことで、「いつ上がる可能性があるのか」を把握できます。


2. 返済明細をもとにシミュレーションしてみる

現在の金利と返済額から、今後どのくらい負担が増えるかを試算してみましょう。
金融機関の公式サイトや住宅金融支援機構の「返済シミュレーター」を使うと簡単に比較できます。

金利が0.5%上がるだけでも、30年ローンでは数十万円単位の差が出ることも。
「返済額は変わらないから大丈夫」ではなく、将来の総支払額を意識することが大切です。


3. 節約によって生活防衛力を上げ、貯蓄を増やす

利上げはコントロールできませんが、「支出」は自分でコントロールできます。
家計を見直し、少しでも貯蓄を増やしておくことで、金利上昇による家計負担を和らげられます。

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こうした「生活防衛力」を上げる努力が、結果的にローン返済の安心につながります。

金利上昇は誰にでも起こる“静かなリスク”

金利上昇

金利上昇と聞くと「一部の人の話」と感じがちですが、変動金利を選んでいる人は約7割とも言われています。
つまり、多くの家庭が同じリスクを抱えているということ。

返済額が据え置かれている今こそ、冷静に見直すチャンスです。
「気づいた人から守れる」——まさに、私自身が感じたことでもあります。

【まとめ】

・住宅ローンの返済額は変わらなくても、利息が増えることで元金が減りにくくなる
・5年ルールにより負担は先送りされるが、完済が遅れるリスクがある
・早めに返済内訳を確認し、金利タイプや今後の影響を把握することが大切
・節約や貯蓄によって生活防衛力を高め、家計の余裕を持たせておく